個人再生:相続財産があり、支払額が多くなったため、支払期間が原則3年のところ5年間への延長が認められた事例

依頼者の属性

・和歌山市在住
・年代 40代
・性別 男性
・家族構成 既婚子あり
・職業 会社員
・負債総額 約1240万円(住宅ローンを除く)
・債権者数 6名(住宅ローンを除く)

再生計画の内容

・再生計画案による支払総額 440万円(住宅ローンを除く)
・免除率 約65%
・再生計画案による支払い年数 5年
・再生計画案による月あたり支払額 約7万3000円
・住宅ローン特別条項 あり
・種類 小規模個人再生
・個人再生委員 なし
・コメント
個人再生による支払総額の支払期間は原則3年ですが、特別な事情があれば、最長5年までの延長が認められます。依頼者は、相続財産があったため、それに応じて再生計画案による支払総額が増えてしまいました。そのため、3年では支払いきれないことから、5年の延長が認められました。

個人再生を選んだ理由

住宅ローンを支払続けてでも、何とか住宅を残したかったため。

相談時の状況、相談のきっかけ

依頼者は、単身赴任をしていた期間、生活費がかさみ、生活費不足を補うため、借金をするようになり、借金がかさみました。その後、単身赴任が終わり、家族と同居するようになりましたが、住宅ローン以外の借金の返済が回らなくなりました。

当事務所を選んだ理由

インターネットで個人再生を調べているうち、地元の弁護士の中で、一番、破産・倒産に詳しそうだったとのことで、当事務所へ相談されました。

解決までの手順

受任後、直ちに、債権者に、弁護士が受任したことの通知を送り、依頼者から住宅ローン以外の債権者への支払を止めて、通常の生活に戻れました。その後、依頼者に申立用の資料の収集などを依頼しましたが、依頼者の申立準備が遅れ、時間がかかりました。最終的には、なんとか準備が整い、申立をすることができました。申立後は、順調に手続が進み、無事、再生計画の認可決定を受けることができました。

解決のポイント(所感)

個人再生では、住宅ローン以外の負債について、最低100万円を原則3年で支払う必要があります。もっとも、債務者が持っている財産が100万円を上回るときは、その財産額分の支払いをしなければならないというルールがあります。このケースでは、たまたま最近相続があり、依頼者の相続分と合わせて持っている財産が約440万円になったことから、この440万円を原則3年で支払う必要が生じました。しかし、そうすると月あたりの支払額が12万円余りとなってしまい、依頼者の収入では到底支払うことができなくなりました。そこで、例外的に最長5年までの延長が認められるというルールを利用して、最終的な支払総額は変わりませんが、依頼者の収入で何とか支払うことができる金額(このケースでは月あたりの支払額約7万3000円)に抑えてもらえるよう、再生計画を作成し、裁判所にも認めてもらうことができました。なお、弁護士に委任すると、直ちに、債権者に、弁護士が受任したことの通知を送り、債権者への支払を止めることができますが、そこで気が緩んでしまい、申立準備が遅れてしまう依頼者さんが、たまにいらっしゃいます。余りにも申立準備が遅れるようなことがあると、弁護士は辞任せざるを得なくなります。弁護士に委任したら、できるだけ早期に準備を進めていただく必要があります。