借金(債務)の整理方法には、大きく分けて、
- 債務を返済していく方法(任意整理、特定調停、個人再生)
- 債務を返済しない方法(自己破産)
の2通りがあります。もう少し詳しく見ていきましょう。
Contents
整理方法の4パターン
債務を返済していく方法
任意整理
裁判所を使わずに、業者さんと話し合いをして、支払い可能な額での分割弁済を認めてもらう方法
特定調停
裁判所を使って、業者さんと話し合いをして、支払い可能な額での分割弁済を認めてもらう方法
個人再生
裁判所を使って、住宅ローンはそのままに、住宅ローン以外の借金について原則3年間(例外的に5年間以内)で、手持ち財産の合計額相当(最低弁済額、最低100万円)を分割返済する代わりに、それを超える部分の借金の返済を免除してもらう方法
債務を返済しない方法
自己破産
裁判所を使って、手許に20万円程度(最大99万円程度)の財産と、身の回りの品(例:家財道具、衣類、お仏壇等)を残してもらえるけれども、それ以外の財産を借金のカタに持っていってもらう代わりに、借金の返済を全部免除してもらう方法
4パターンのメリット・デメリット
債務整理の4パターンには、それぞれメリットとデメリットがあります。
任意整理(借金を返していく)
メリット
これまで支払った、利息制限法を越える高金利部分で、借金を一部カットしてもらえる。
将来分の利息をカットしてもらう。
毎月の返済額を減らしてもらえる。
破産のような資格制限がない。
デメリット
元本はカットしてもらえない。
原則3年以内の分割弁済を求められる。
原則3年以内で分割弁済できなければ、業者に応じてもらえないことが多い。
業者が話し合いに応じてくれるとは限らない。
その他
弁護士に依頼すれば、ほとんど手間がかからない。
特定調停(借金を返していく)
メリット
これまで支払った、利息制限法を越える高金利部分で、借金を一部カットしてもらえる。
将来分の利息をカットしてもらう。
毎月の返済額を減らしてもらえる。
破産のような資格制限がない。
デメリット
元本はカットしてもらえない。
原則3年以内の分割弁済を求められる。
原則3年以内で分割弁済できなければ、業者に応じてもらえないことが多い。
業者が話し合いに応じてくれるとは限らない。
その他
弁護士に依頼した場合、結果的に任意整理とほとんど変わらないのに、裁判所を使うので手間がかかる。弁護士は余りやらない。
個人再生(借金を一部返していく)
メリット
利息だけでなく、元本を一部カットしてもらえる。
将来分の利息をカットしてもらう。
毎月の返済額を減らしてもらえる。
自宅を残してもらえる可能性がある。
破産のような資格制限がない。
デメリット
法律で決まった弁済額(最低100万円)について、原則3年(最長5年)以内の分割弁済を求められる。
その他
準備の手間が、やや大変。
自宅を残そうとすると、さらに手間がかかる。
自己破産(借金を返さない)
メリット
借金を全部カットしてもらえる。
デメリット
借金の原因等が余りにも不誠実な場合など、免責不許可(借金をカットしてもらえないこと)となる。
一定の期間、一定の資格制限を受ける。
自宅は、残せない。
その他
準備の手間が、やや大変。裁判所から、「破産管財人」をつけるよう指導されることがあり、その場合、さらに時間と手間と費用がかかる。
どの整理方法を選ぶのか
なかなか難しいのですが、基本的には、
まず
利息制限法違反の高金利の貸金業者からの借金について、これまでの取引の期間・取引状況から、利息制限法に基づく本来の借金の残元金の額を調査します。
また
貸金業者との間で5年以上取引がないかなど、消滅時効を援用できないかを検討します。
その上で
本来の借金の残元金の合計を、向こう3年で分割弁済できそうなら、
①任意整理か、②特定調停
本来の借金の残元金の合計を、向こう3年で分割弁済できないか、分割弁済できても余りにも高額なときは、
③個人再生か、④自己破産
破産をどうしても避けたい事情があれば、
(例:自宅を残したい、資格制限(保険外交・警備員等ができない)を避けたい等)
③個人再生
但し
返済能力その他からみて個人再生が難しいときは、
④自己破産
というような手順で検討していきます。
弁護士から、ひと言
どの方法にも、一長一短があります。
個々人の立場や状況により、利用できないパターンや、不適当なパターンもあります。
安易にパターンを選んで、債務整理を進めてしまうと、思わぬ事態が生じかねません。
どの方法を選択するかは、よく、弁護士とご相談されることをお勧めします。