借金がどうしても返せないときに、これからの生活の再建を図るため、裁判所によって、借金の支払いを免除してもらう方法です。
裁判所を通じて行う必要があります。
今ある財産を引き渡す代わりに、今ある借金の支払いを免除(免責)してもらいます。
今ある財産を引き渡すといっても、少額の財産や、家財道具などについては、引き渡す必要がなく、場合によっては、99万円未満の財産は手許に残しておくことができます。
なお、借金の原因が、ギャンブルや贅沢のためであった場合や、貸金業者にうそをついて借金した場合など、免責不許可事由がある場合、免責されないことがあります。
また、税金や、わざとやった不法行為に基づく損害賠償金など、一部の債務は、免責されません。
まとまった財産がなければ、同時廃止という、安価で簡易な手続で終わります。
合計20万円を超えるまとまった財産がある場合や、免責に不安があるような事情がある場合などには、破産管財人が選任され、高価で煩雑な手続きとなります。
同時廃止となるか破産管財人事案となるかは、裁判所が決めます。
今ある借金の支払いを免除(免責)してもらうために、債権者に対する公正性や平等性が強く求められます。
いわゆる財産隠しや、知り合いの債権者のみに支払うことは、この手続では認められません。
自己破産のデメリット
債務が免除されるという多大なメリットに比べれば、実は、たいしたデメリットはありません。
- 免責決定確定まで、一定の職業に就くことができなくなります。
といっても、就くことができないのは、弁護士・税理士等の資格業や、警備員・保険勧誘員など、ごく限られた職業だけです。 - 会社役員をしていた場合、退任することになりますが、新たに役員に選任されることは問題ありません。
- あなたが破産したことは国の広報誌(官報)に掲載されますが、普通の人は、そんなものわざわざ読みません。(官報って、読んだことありますか?)
- 信用をなくしますので、7年程度、住宅ローンを組んだり借金したりすることが難しくなりますが、これは他の債務整理の場合と同じです。
誤解されている方もおられますが
- あなたが破産したことを戸籍に記載されることはありません。
- 選挙権がなくなることもありません。
- 普通預金口座も使えます。
- 親兄弟子供には全く影響ありません。
(あなたの負債を保証している場合は、別です)
自己破産の手続きの流れ
(同時廃止の場合)
- ご相談(無料)
事前にご記入してご持参いただいた負債状況一覧表をもとに債務整理の方針をご相談し、弁護士費用等をご説明します。 - ご依頼・ご受任
債務整理の方針と弁護士費用のお支払い方法が決まり、弁護士にご依頼いただく場合、ご依頼内容を記載した委任契約書にご署名ご捺印を頂きます。 - 受任通知の発送
受任後すぐに、弁護士が、全ての債権者に、弁護士が受任した旨の通知書(受任通知)を、郵送します。
これによって、貸金業者からの請求が止まります。
通知内容は
①今後の連絡は、本人ではなく、弁護士宛にするように
②これまでの借金と返済の状況(取引履歴)を教えるように
求めるものです。 - 自己破産申立の準備
申立書類の下書きや、裁判所に提出する資料を集めていただきます。
申立書類は、弁護士がチェックのうえ清書します。
弁護士のチェックが入るので、安心です。 - 自己破産申立
準備が整えば、申立書を裁判所に提出します。
特殊な事情がある場合、裁判所から補充するよう指示されることがあります。 - 破産審尋(裁判官による面接)
破産手続きをスタートしてよいかどうか、裁判官に面接されることがあります。
問題がなければ、省略されます。
実際には、省略されることがほとんどです。 - 破産手続開始
破産手続開始 裁判所が破産手続をスタートさせる決定をします。同時廃止の場合、破産手続はすぐに終了します。(破産管財人が選任される場合は、手間と時間がかかります。) - 免責審尋(裁判官による面接)
免責決定をしてよいかどうか、直接、あなたが裁判官に面接されます。
といっても、問題がなければ、普通は簡単に終わります。
もちろん、弁護士も同行します。 - 免責許可
問題がなければ、裁判所が、借金の返済を免除する決定をします。
免責が許可されないことは、ほとんどありません。 - 免責許可の確定
債権者から異議が出なければ、免責が確定します。
以上が、おおよその目安です。
期間としては、9ヶ月程度はかかります。
但し、いつもこのようにスムーズに行くとは限りません。
場合によっては、もっと期間がかかることもあります。