個人再生:免除率について債権者の意向を反映させて反対意見を回避しつつ、支払期間を5年に延長した小規模個人再生の認可を受けた事例

依頼者の属性

・ 橋本市在住
・ 年代 40代
・ 性別 男性
・ 家族構成 単身
・ 職業 会社員
・ 負債総額 約430万円(住宅ローンを除く)
・ 債権者数 3名(住宅ローンを除く)

再生計画の内容

・ 再生計画案による支払総額 220万円(住宅ローンを除く)
・ 免除率 約49%
・ 再生計画案による支払い年数 5年
・ 再生計画案による月あたり支払額 約3万7000円
・ 住宅ローン特別条項 あり
・ 種類 小規模個人再生
・ 個人再生委員 なし
・ コメント
個人再生による支払総額の支払期間は原則3年ですが、特別な事情があれば、最長5年までの延長が認められます。依頼者は、後述の事情により、再生計画案による支払総額が高額になってしまいました。そのため、3年では支払いきれないことから、5年の延長が認められました。

個人再生を選んだ理由

住宅ローンを支払続けてでも、何とか住宅を残したかったため。

相談時の状況、相談のきっかけ

依頼者は、親の医療費の援助等にあてるため借金をはじめたところ、入院期間が長期に及ぶなど予想外に援助費用が膨らみ、結果的に、住宅ローン以外の借金の返済が回らなくなりました。

当事務所を選んだ理由

インターネットで調べて、当事務所へ相談されました。

解決までの手順

住宅ローン以外の債権者で、住宅ローン以外の負債総額の過半数を超える債権額を有する債権者(1社)から、負債を50%以上カットする再生計画なら反対するという意向があり、やむをえず、依頼者の了解のもとで弁済率51%の再生計画を提出し、無事、再生計画の認可決定を受けることができました。

解決のポイント(所感)

小規模個人再生では、住宅ローン以外の負債についてどのように弁済していくかという再生計画を作成して裁判所に提出し、住宅ローン以外の全ての債権者の意見を聴くことになります。そして、住宅ローン以外の負債総額の過半数を超える債権額を有する債権者が再生計画に反対すれば、再生計画が認可されず、再生できなくなります。
これを避けるためには、小規模個人再生ではなく、住宅ローン以外の債権者の意見を聴かなくて済む給与所得者再生を申立てることになります。
もっとも、給与所得者再生では、住宅ローン以外の債権者の意見を聴かなくて済むかわりに、再生計画で支払わなければならない総額について厳しい縛りがあり、例えば、給与が高く扶養家族も少ない場合には、小規模個人再生よりも、支払総額が増えてしまいます。
このケースでは、かなり給与が高く、また扶養家族も少なかったため、給与所得者再生では、返済額が膨らみすぎてしまうため、小規模個人再生を選択しました。
もっとも、一旦、裁判所に正式に再生計画を提出した後で、住宅ローン以外の負債総額の過半数を超える債権額を有する債権者が再生計画に反対すれば、再生計画が認可されず、再生できなくなってしまいます。
特に、このケースのように、1社で、住宅ローン以外の負債総額の過半数を超える債権額を有する債権者がいるときは、注意が必要です。
そこで、再生計画を提出する前に、住宅ローン以外の全ての債権者に意向を伺ったところ、住宅ローン以外の負債総額の過半数を超える債権額を有する債権者(1社)から、負債を50%以上カットする再生計画なら反対するという回答がありましたが、支払期間を5年間とすることには反対しないとのことでした。
そのため、依頼者の承諾を得て、弁済率51%とし、そのかわり支払期間を5年間とする再生計画を提出し、無事、認可決定を受けました。