自己破産:裁判所から浪費を指摘されたが、管財人がつかず無事免責が下りた事例

依頼者の属性

・和歌山市在住
・年代 80代
・性別 男性
・家族構成 既婚
・職業 年金生活
・負債総額 約150万円
・債権者数 5名
・管財人の有無 なし

相談時の状況、相談のきっかけ

依頼者は、自営業を廃業後、年金生活となりましたが、スポーツ団体の役員を務めることになり、交際費が増え、年金だけでは不足し、借金がかさみました。その後、スポーツ団体の役員を退任したことを切っ掛けに、債務整理を決意されました。

当事務所を選んだ理由

依頼者のお子さんが心配して、地元の弁護士のホームページをいろいろ調べ、最も破産・倒産に詳しそうだったとのことで、当事務所への相談を勧められました。

解決までの手順

受任後、直ちに、債権者に、弁護士が受任したことの通知を送り、債権者から依頼者への直接の請求が止まり、年金からの支払を停止して、通常の生活に戻れました。依頼者は、学生時代からスポーツを続け、社会人になった後はそのスポーツの振興のための地元団体の世話を続けていました。その行きがかりで、スポーツ団体の役員への就任を断れず、役員を務めることとなり、交際費等の支出がかさみ、借金が増えました。もっとも、裁判所から、スポーツ団体の役員に関連する支出は生活に不可欠なものでなく、浪費ではないかと指摘され、当初、管財人を付けるよう指示がありました。しかし、依頼者は年金生活のため、管財費用を捻出するのが難しい状態でした。そこで、依頼者から、スポーツ団体の役員に関連する支出は自らの娯楽のためではなく、地元スポーツの振興のため、それまでの人間関係から断りきれずに就任したものであり、退任した後は生活費を倹約しているという自筆の詳細な上申書を提出することにしました。裁判所もかなり迷っていたようですが、生活費を倹約している内容の家計簿を数か月分提出し、結局、管財人を付けなくてもよいことになり、破産開始決定と同時廃止決定を出してもらえました。その後、免責許可決定を出すかどうかを判断するための裁判官による面接(免責審尋)を個別に受け(和歌山地裁本庁では、通常は集団で受けるのですが、裁判所の判断により個別面接になることもあります)、無事に免責許可決定が出ました。

解決のポイント(所感)

当初、裁判所から、管財人を付けるよう指示されてしまい、年金から管財費用を捻出するのがネックになりました。しかし、結果的には、依頼者の上申書と、数か月分の家計簿が決め手となり、無事、管財人が付かずに解決しました。弁護士でも、それまでの人間関係等から断りきれずに弁護士会の役員に就任せざるを得ないこともありますので、そのような役員関連の支出まで浪費だと指摘されてしまうと、なかなか辛いものがあります。

この依頼者は弁護士ではありませんが、社会生活を送っていると浮世の付き合いでいろんなことがあります。このケースでは、最終的には、裁判所に事情をご理解ただだけて、よかったと思います。